引越しトラブルを弁護士に相談！マンション名を勝手に変更されたら

そうなんですね。深刻といえば、私も悩んでいることがあります。大家さんが手作りのご飯を毎日届けてくることが迷惑な場合、それも正当な解約事由に当たりますか？

はい？

大家さんが手作りのご飯を持ってきてくれるんです。でも僕は、あまり知らない人が作った食べ物を口にしたくないんですよ。友達のお母さんが握ったおにぎりもダメで……。毎回やんわりと断っているのですが、それでもしばらくすると、また持ってきてくれるんですよ

えーと、大家さんは善意で作ってきてくれるの？

はい。気持ちはありがたいんですけど、どうしても食べられないんです。仕事から帰って来るとドアノブにかけてあったりして、夏場は衛生的にも不安です

……。まず、その状況が悲しいですね。ただ、善意であれば法にふれることはありません。そして迷惑なのであれば、この際ハッキリ伝えましょう。中途半端が一番良くない。恋愛と同じですよ。あいまいな態度を取るのが一番悪い

気分を害してしまうと、逆恨みされてしまうのではないかと怖くて……。でも確かに、このままではいけないので、次からはハッキリと伝えてみようと思います

少し話がそれましたが、引越しをするにあたって気をつけた方がいいことってありますか？

いろいろありますが、引越業者選びは慎重におこなった方がいいですね。引越しのトラブルとして多いのは、作業中の家具や壁の破損や、スタッフさんの態度が横柄だったというケースです

壁を傷つけられるのは嫌ですね……。部屋の壁とか床を破損されたら、敷金が返ってこない可能性もありますよね。そういった状況にならないためにも、避けた方がいい引越業者の見分け方ってありますか？

まず、予約金や手付金を請求してくる引越業者は確実に避けましょう。予約金・手付金というのは、国土交通省が定める「標準引越運送約款」に基づき、原則禁止とされています。請求されたら断固拒否し、引越業者を変えた方が無難です

以前、引越業者を利用した時に予約金を払ってしまったことがあります……。あれは払わなくていいお金だったんですね。他にはありますか？

あとは、トラックのナンバープレートが白い引越し業者には注意が必要になりますね。ナンバープレートが白い場合、陸運局の許可を得ずに営業している可能性が高い

無許可ですか、いわゆるモグリというやつですね。でも、引越し当日に白いナンバープレートのトラックが来ても、その場では断りづらいな……。わざわざ来てもらっているし

陸運局の許可を取らずに営業している引越業者は、家具を傷つけられた時の補償をちゃんとしてくれなかったり、スタッフの態度が横柄だったり、さまざまなトラブルのもとになります。余計なもめ事に巻き込まれたくなければ、直前でもきっぱりと断りましょう。ただ引越しの繁忙期、3~4月の間は引越業者はレンタカーでの業務も認められているので、この見分け方は通用しません

そんなルールがあるのか……白ナンバー＝無許可というわけではないんですね、知りませんでした。では、申し込みの段階で陸運局の許可を得ているのかどうか確認するのが確実ですね。家具ならまだしも、壁に穴でも開けられたらたまったもんじゃないですから

ちなみに、運送中にテレビや洗濯機などの家具を傷つけられてしまった場合、弁償してもらうことは可能ですか？

もちろん弁償してもらえます。ただ、新品に交換してもらえるわけではなく、基本的には同等品となります。3年使用していたテレビが傷つけられたからといって、新品になるということはありません。弁償や補償方法は、引越業者によって違うので、事前に連絡して確認をとることをオススメします

なるほど。口コミサイトによくある苦情として、「ピアノの引き受けを拒否された」というものがあるのですが、これは違法ではないのでしょうか？

これは、違法ではありません。引越業者には、運送を「拒否」できる荷物があるんですよ。これについても、陸運局が定めた「標準引越運送約款」に詳しい品名が記載されていて、貴重品類や他の荷物に損害を及ぼす恐れのある荷物、運送に当たって特殊な管理を要するものが挙げられます

何でも運んでもらえるわけではないんですね。てっきり、ピアノも運んでくれるものだと思っていました

ピアノは、その「運送に当たって特殊な管理を要するもの」に当てはまりますね。その他にも引越業者は、動植物や骨董品、美術品なども拒否する権利があります。契約内容や作業内容は、事前に確認しておくことが大切。引越業者の方も、「依頼者の希望どおり対応したい」と思っているはずですから

オプションサービスや付帯サービスをつければ、ピアノを運んでくれる場合もあるようです。万が一のケースに備えて気になったことは、事前に営業担当者や、現場責任者の方に確認した方がよさそう

では、事前の見積もりより高い金額を請求された場合、お客さんは支払わなくてはならないのでしょうか？

正当な理由がある場合は、支払わなければなりません。見積もりの段階で予定していた荷物量よりも、大幅に荷物が増えてしまっていれば、追加料金はかかります

見積もり無料！とうたっている引越業者さんも多いですが、そういったうたい文句にも気をつけた方がいいのでしょうか？

見積もりが無料なのはどの業者も同じですから、特に気をつける必要はないと思います。また、引越業者は見積もりに料金がかかる場合、事前にお客さんに金額を提示する必要があります。なので、事前提示がなかったにもかかわらず、見積もりに対する費用を請求されたとしても支払う必要はありません。もちろん、これは訪問見積もりに対しても同じです

では、見積書にサインをした後に引越しをキャンセルした場合、キャンセル料は支払わなくてはならないのでしょうか？

原則として、引越し作業の3日前までならキャンセル料はかかりません。ただ、前々日の場合は運賃および料金の50%以内、 前日の場合は見積もり額の30%以内、当日であれば50%以内のキャンセル料が請求されます。例外として、地震や洪水、台風などの天災によって引越しをするのが困難と引越業者が判断すれば、前々日や前日、当日のキャンセル、延期が可能になります

キャンセルする場合、引越業者さんから、事前に送ってもらったダンボールやクラフトテープはどうしたらよいでしょうか？

まだ使っていなければ返却、使ってしまったなら買取になると思います。引越業者にもよるので要確認ですね

なるほど。勉強になります

気をつけないといけないことが多いなあ。もっと手っ取り早くトラブルを回避する方法はないのでしょうか？

一番良いのは、複数の引越業者に見積もりをもらうことですね。比較してみないことには料金相場もわからないし、どこの引越業者が良いのかも判断できませんから

やっぱり見積もり比較って大切なんですね。ネットで一括見積もり依頼をすれば、無駄な手続きも省けそう。弁護士さんに相談するとホッとしますね。今まで引越しトラブルの相談は、国民生活センターにするものだと思っていたので目からうろこでした

でも、弁護士さんに相談するのってなかなか勇気がいりますよね。引越しトラブルくらいで弁護士さんに相談してもいいのでしょうか

もちろんです。特にうちは、敷居が低い弁護士事務所なんですよ。最初の30分間は無料で相談に乗りますから、手ぶらで来ていただいても構いません。引越業者とのトラブルであれば、消費者センターに相談してみるのもいいです。大切なのは、一人で悩まないことなんです

うちに相談に来る場合は、お茶を飲みに来るような感覚で気軽にいらしてください。それにね、うちでお茶を飲むと漏れなく手品も楽しめます

唐突ですね……

じゃあ榎本さん、好きなところでストップって言ってね

ストップ！

じゃあ、このカードを覚えておいてね